飲食店で席が空いているのに来店した客を案内しないで店頭で待たせられた、という状況は多くの人が経験したことがあるでしょう。
飲食店で働いたことがない人にとっては疑問でしかなく、ときには不満にも思うかもしれません。
本記事では、飲食店がなぜ席が空いているのに顧客を案内しないのかについて解説していきます。
飲食店で席が空いているのに案内されない理由

飲食店で「席が空いており、その席はすでにきれいに片付けられているのになぜか席に案内してもらえない」という状況を経験したことがある方は多いでしょう。
そこには以下の理由があります。
- すでに店内にいる顧客(着席済みの顧客)へのサービスが間に合っていない
- 店内客からの呼び出しへの対応が立て続いている
多くの場合は「すでに店内にいる顧客へのサービスが間に合っていない」という状況の際、席が空いていても新しい顧客への入店案内は優先順位的に後となります。
店内顧客へのサービスが間に合っていない状態とは、具体的には以下のようなものです。
- 席にご案内したが水も出せていない
- オーダー待ちの顧客が複数いる
- 飲み放題のドリンク提供が間に合っていない
- 料理が出来上がりスタッフがその提供にかかっている(=その他サービスが滞留している)
上記のような状態は、人手不足である飲食業界ではよくあること。
新規来店の顧客ももちろん大切ですが、対応優先はすでに店内にいる顧客です。
もし店内顧客へのサービス提供ができていない状態で新規顧客を増やすと、さらに対応が間に合わなくなり、新しく入店案内をした顧客も含めて満足してもらえる提供ができなくなります。
これはまさに“負の連鎖”の始まりといえるでしょう。
そのため店内顧客へ必要なサービス提供をできていない状態で、さらに店内に顧客を増やすことはできないのです。
飲食業界は深刻な人手不足

飲食業界の人手不足は年々悪化しており、2022年には76.6%の飲食企業で人手不足が見られています(※)。
学生アルバイトといえば、一昔前は飲食店でのアルバイトが多いイメージもあったかもしれません。
しかし現在では学生(とくに都内の学生)は、アルバイトとして企業のオフィスへインターンへ行くことも増え、アルバイト=飲食店ではなくなっています。
また在宅で可能なさまざまな仕事も増えたため、主婦のパート人材が飲食業から離れつつあるというのも原因の一つです。
また決して“高給”とは言えない時給や、クレームや泥酔客からの言い掛かりなど顧客対応の大変さから「飲食店でアルバイトやパートをする」という選択肢が遠のいてしまっているのも事実といえます。
※“帝国データバンク調査”参照
「席に案内してもらえない!」飲食店混雑時に客側としてできること

人手不足とはいえ、営業してお金をもらうからには飲食店はよりよいサービス提供を行い、状況を改善していかなければなりません。
しかしここではあえて、まず「客としてできること」を考えてみました。
- 店側への配慮をもつ
- 待つ状況になっていても、寛容な気持ちでのんびりと過ごす
- 待てないならば他の店へいく
- 複数名のドリンクオーダーはなるべくまとめて注文(五月雨式に注文してスタッフを何往復もさせない)
- 飲み放題ならビールは中より大(オーダー回数を減らす)
- ビュッフェ式なら同じ皿を使う(洗い物の削減)
- 混雑時、案内された席に対して「向こうの(別の)席がいい」など言わない(その席に案内しようとしたのには入店人数効率やスタッフが足を運びやすいなど、何かしら運営をスムーズにするための理由がある)
店に入りたいのに待たされる状況であれば、イライラしてしまうもの仕方がないでしょう。
ですが店側も故意に顧客へ意地悪をしているわけでも、待たせたいわけでもありません。
経営者視点でないアルバイト店員だって、顧客にイライラとした態度を取られるのは怖いためできるならスムーズに案内をしたいと思っているに違いないでしょう。
しかしそれができない状況であると理解し、店側へ配慮の気持ちを持ちながらのんびりと待つのが客としてできることです。
それに、イライラしてしまったらおいしいはずの料理もおいしく感じられません。「寛容な対応をできる自分」への満足感に浸りつつ待ってみるのもおすすめ。
また時間がなく待てない状況であるなら、イライラと気分を高めるのではなく、他の店に移動する方が自分のためでもあります。